コラム「水準器」


■9/15 今年の夏はとにかく暑かった

 今年の夏はとにかく暑かった。しかも日々過ごしているのが、夏の体感の暑さ日本一の大阪である。毎年必ず見に行く甲子園の高校野球も、淀川花火大会も、青春18切符の旅も、何もかも今年ばかりは遠慮させてもらった。体調を崩したこともあってお盆休みの間、家の中でひたすらじっとしていた。警察小説を何冊も読んで過ごした。よくぞ9月を迎えられたものだと思う。猛暑・酷暑・激暑・極暑・烈暑…どんな言葉をもってしても、自らが体験した今年の夏の暑さを伝えることはできない。そんな夏だった。
 この暑さの癒えぬ9月初旬、大阪では手づくりフェアが行われた。以前のように地下鉄の駅まで延々と列が続く光景はみられないものの、午後2時ごろまではマイドームおおさかへの道は、50代を中心としたおばさん方が途切れず歩を進める。手づくりや園芸にいそしむ女性は外見も穏やかで、あたたか味がある。厚かましさの権化のように揶揄される大阪のおばさんも、この会場を訪れる人達は比較的物静かである。ただし、ひとつ欠点をあげるとするなら、おばさんは矢鱈モノを聞く。トイレはどこ、○○ブースはどこ、食堂はどこ、何時までやっているか、来年はいつか、帰り道がわからないなどなど、すべて目で探すか、パンフレットに目をやればすむことだ。10年の知己のように話しかけてくるのも特徴で、以前どこかで会ったかなと勘違いすることもしばしば経験する。しかし、私達はこれらの手芸大好き、手ぬい大好きおばさんによって支えられている。いかなる人にも、にっこり答えるよう心がけている。
 フェアの3日後、今年もあの「9・11」が巡ってきた。それを呼び覚ましてくれたのは新聞やテレビで、うっかり脳裡を通り過ぎるところだった。2001年9月11日、米国を襲った同時多発テロの惨劇は、アメリカ国民にとって生涯忘れ去ることのできない出来事だったと思う。ハイジャックされた航空機がニューヨークの世界貿易センタービルに突入し、そのビルが崩壊する映像は今も網膜に焼きついている。あまりの衝撃で現実感は薄く、絵空事、作り事のシーンのような気持にとらわれるほどだった。
 あれから6年、それにつけても日本の今の平和はつくづくありがたいと思う。これからも心穏やかに暮らせたら、他に何もいらない。