コラム「水準器」


■10/15 「ウォームビズと編物業界」

 猛烈に暑かった夏もようやくピリオドを打ち、朝晩めっきり過ごしやすくなってきた。でも考えてみれば、10月中旬なのだ。普通であれば衣替えもすみ、秋を満喫している時期なのである。ところが、大阪の昼間はまだ半袖の人が行き交う。日本は春夏秋冬の四季があり、その時々の自然の変化が楽しめる国といわれてきた。しかし、ここ数年の季節の変わり目は春と秋がなく、いきなり夏と冬がやってくる。アパレルでも秋物の薄手コートなんかはまったく動かず、重衣料のシーズンにいきなり突入した観がある。それもこれも地球温暖化の影響なのだろうか。
 そして11月1日から、今年も「WARM BIZ ウォームビズ」の運動が3月1日までの5カ月間にわたって繰り広げられる。政府が、地球温暖化防止のため暖房時のオフィスの室温を20℃(政府は19℃)にすることを呼びかけて実施しているもの。『寒い時は着る』、『過度に暖房機器に頼らない』そんな原点に立ち返り、暖房に頼り過ぎず、働きやすく暖かく格好良いビジネススタイルで省エネ実現をと、3年前から実施し、それなりの実績を上げてはいるが、その普及度は夏の「クールビズ」には遠く及ばない。
 「ウォームビズ」が国民的運動に至らない原因は、まずインパクトに欠ける点が上げられる。閣僚から代議士の先生までほとんどが上着なし、ノーネクタイの映像がテレビを通してどんどん流れるクールビズ。公式の場で、しかるべき人がノーネクタイなんて、つい5年前まで考えも及ばなかった出来事だった。対してウォームビズは、ベストやセーターを着ようと言われて実行しても、上着やコートを着るとわからない。国会議員の方々もセーター着用だけの姿は写らない。この国では、マスメディアに現れないものは実はないのに等しい。わが編物関連業界もウォームビズの運動は、千載一遇の好機到来と張り切った時期もあった。しかし現実は厳しく、何の影響もなく空振りに終わってしまっている。
 ほとんどの編物の関連業者はあきらめの境地に至っているように見える。伝統ニット復活やヤングの手編み熱を煽り立てた、あの情熱とパワーはどこに行ってしまったのか。傍観者を決め込む人達。ここからは何も生まれない。アクションがあってしかるべきだと思うのだが……。