コラム「水準器」


■11/01 すべての事件は関西から起こる

 10月も偽装事件が相次いだ。ショックだったのは「赤福もち」の製造月日改ざんと、返品された餡と餅を作り替えて再び売っていたという事実だ。私も、赤福は時々月初めに一部の売場で売られる朔日(ついたち)もちを予約して買っていた。本当においしかった。遠く遡って、小学校の修学旅行のおみやげに買ったのが赤福だった。とりわけ関西の人間にとって赤福は身近で、しかも特別な存在だったのである。ところが今回の不祥事。これによって「赤福もち」は無期限製造禁止となった。300年守り抜かれた暖簾と信用が一瞬にして潰え去ったのだ。どう再建されるかわからないが、一度失墜した信用を取り戻すのは並大抵のことではない。商売をする人の中でも、食品に関係する人はウソをつかない、正直な人にやってもらいたいと心から願う。
 10月、世間を騒がせたもう一つがボクサーの亀田大毅選手による反則での敗退だ。反則しなくても完敗だったが、、それ見たことかと「反則」に照準を当ててブーイングの嵐が吹き荒れた。マスメディアも、手の平を返して亀田一家を集中攻撃し、希代の悪者一家に仕立て上げている。それにしても関西、とくに大阪は品性に乏しい、いわゆる柄が悪い人達を輩出する土地だとつくづく感じる。住んでいて情けないものがある。40才近くになって一つのタイトルも取れず、耳にピアス、金のネックレスに坊主頭で登場するプロ野球選手、ボクサーも渡辺二郎、辰吉丈一郎、そして亀田一家だ。それに対して東京のスポーツマンは爽やかだ。早稲田大学のハンカチ王子と呼ばれる斎藤佑樹選手、高校生ゴルファーでハニカミ王子の石川遼君、この違いは何だ。これに亀田大毅選手のハンソク王子を加えて、ハから始まる3王子と皮肉る新聞もあった。
 しかし、10月26日の亀田興毅選手による謝罪の記者会見で少し見方が変わった。1時間20分に及んだ会見。背筋をピンと伸ばし、自分の言葉で亀田家の長男として謝罪する興毅選手の姿を見て、今までの馬鹿さ加減は一体何だったのか。マスメディアによって作り上げられた虚像だったという、紛れもない事実を知ることとなる。サービス精神旺盛で、ヒール(悪役)を強調したパフォーマンスがどんどんエスカレートしていった亀田一家。それをけしかけたテレビ局。一時はボクシング界の救世主とさえ持ち上げた。そして挙句の果てに、世間に迎合して奈落の底に突き落とす。報道機関としての誇りも矜持もない。その端に連なる者として今回の騒動は自戒への材料となった。