コラム「水準器」


■04/01   些事を大事(おおごと)にしてしまう日本という国

 つくづく日本は平和でヒマな国だと思う。ひとりの品性に乏しい誇大妄想癖のあるおじさんによって世間が引っ掻き回されている。ここ1週間ほどはマスコミがこの人物によってハイジャックされてしまっている。朝、目覚めてテレビをつければ「森友学園」、「森友学園」、ラジオも新聞もモリトモの連呼で、もはや何が起きているのかもわからない。ほかに報道することがないのかと言いたくなってしまう大騒動ぶりだ。ついでに言えば、小欄が生まれ育った大坂・豊中も、おじさんが建てようとしている学校が存在するというだけの理由によって、一躍全国区の町になってしまった。
 ニュースの届かない無人島から帰ってきた人が今の国の状況を目の当たりにしたら、国がひっくり返るほどの大事件が起きていると勘違いしてしまうのではないか。これまでの欧米主導の世界の形が崩壊し、常識外れの無茶苦茶な人物が世界最高の権力者になり、世界各地ではテロや自然災害が相次ぎ、隣国も大統領が逮捕されるかの瀬戸際に追い詰められ、さらにもうひとつの隣国は、人を信用できない小心者の独裁者が端迷惑な戦争の道具を作り出して有卦に入っている。いつ何時、ミサイルが飛んでくるかわからない。
 こんな時期に、呑気に100万円がどうの、土地の代金が安過ぎるなどと言っている場合かと思う。しかも、その審議の場が国権の最高機関で、国の唯一の立法機関である国会だというから、開いた口が塞がらない。さらに言えば、やったやらないの不毛の言い合い(審議という高等な議論ではない)が繰り広げられているのが、今後1年の国家予算および指針を決める予算委員会の場なのである。つまらないことに時間を費やし、肝心の予算はほとんど審議されずに国会を通過してしまうのだろう。
 国有地が異常に安く払い下げられた事実が世に出たのは、ある豊中市会議員の偶然の行動からだったという。その市議はある日、建設中の学校用地のそばを歩いていた。と、そこに貼られていた生徒募集のポスターが目にとまる。学校紹介の中に、戦前の教育勅語を復唱するとある。こんな時代錯誤な右翼が口にするようなことを標榜する学校が認可される筈がない。そこで色々調べてみると、その教育方針ではなく、建設に関わる不正、癒着らしきものが次々に明らかになり、告発に踏み切ったのだ。それからの経緯は、ご存知の三文役者による寸劇の幕が開く。ネタが欲しいあまり、すぐ飛びつくマスコミの矜持の無さ、ここまで騒ぎを大きくした民進党の真実を見極める力の無さには、国民として心から情けなさを感じる。今回の事件が起きてから民進党は一段と支持率を下げている。当然のことだろう。