コラム「水準器」


■07/01   「風鈴」の音をうるさいと感じる人達

 花火や盆踊りと並んで、夏の風物詩のひとつ『風鈴』。涼やかな音色が耳に心地よく響く。日本人にとって不変の人気が続いていると思っていたが、ここ数年売り上げがどんどん落ちているのだという。原因はご多分にもれず、うるさい、耳につくといった騒音クレームが頻発し、それなら買うのも吊り下げるのもやめようという自粛ムードが広がったのでは、と見られている。
 かくして、またひとつ日本に古くから伝わってきたものが滅んでいくのだろう。その替りといっては何だが、屋内で風鈴の音を楽しむための「卓上風鈴台」がよく売れているという。さすが創意と工夫の日本。素早く時代に対応したものが登場している。しかし、軒先きにぶら下がって、風がソヨと吹くと音を奏でてくれてこその風鈴。扇風機の風でチリンチリンでは何とも味気ない。
 世の中に数あるクレーム、苦情の中でも、断然トップは「騒音」に関するもので、現代人の音への過剰反応はどんどんエスカレートしつつある。東京都環境局ホームページにある「生活騒音」の例の中にも、風鈴がオートバイの空ぶかし音やペットの鳴き声と同列に並んで堂々ランクインしているという。自治体も他にやることはいっばいあるだろうに、少しは辛抱することも覚えたらどうかと思ってしまう。
 世の中のあら探しに人生をかけているような人が増えているのも事実で、ひと昔前なら一蹴されていたような事柄でも、今は丁寧に対応してもらえる。「何を言ってるのだ。お互い譲り合ってこその世の中。顔を洗って出直して来い」と正論を吐く、気骨のある人が隣り近所や役所なんかにもいなくなってしまった。これも、ひと握りのクレーマーを図に乗らせる社会になってしまった要因だろう。多分、どこかの国の野党の女性党首のように、正義をふりかざし、ヒステリックに喚き立てている人が、まさに今現在も世の中に存在するのだと思う。
 そして、夏の風物詩といえば「盆踊り」がある。今年も、全国至るところで心浮き立つ太鼓の音が鳴り響き、楽しい踊りの輪が広がるのだろう。しかし、この楽しかるべき盆踊りの世界にも異変が生じている。以前、このコラムでも取り上げたが、「無音盆踊り」が登場したというニュース。踊り手がイヤホンで音楽を聴きながら踊るという。異様な世界が現出するのだ。もちろん、これも周辺住民からの「やかましい」というクレームを市側が受け止め、音を出さずに盆踊りをという窮余の一策に逃げたのだと思う。ごくごく一部の心ない人からのクレームに負けてしまった愛知県東海市の処置も情けないが、それが今年も行われるという現実をどう受け止めればいいのだろうか。