コラム「水準器」


■08/01   親から子へ、本を贈ってみませんか?

 日本人は「○○の日」というのが大好きで、日本記念日協会によると、わが国の記念日は千数百にのぼるという。1月1日から12月31日まですべての日に記念日が存在する。たとえば今月(7月)の7日を例にとると、川の日、カルピスの日、冷やし中華の日、ポニーテールの日、ゆかたの日と5つの記念日がある。七夕にちなんだ川の日を除いて、何故その日が記念日なのか良くわからない。そのほとんどが、単なる語呂合わせによるものが多いからだ。とくに、企業や業界団体などが商品の販売目的で制定したような記念日の中には、事実上利用されていないものも多いと聞く。
 7月、素晴らしい意味をもつ記念日が加わった。親から子へ、本を贈ってみませんか? 7月23日はTSUTAYA「親子の日」が制定されたのだ。全国に書店を展開するTSUTAYA(ツタヤ)が、もともと「親子の日」だった7月23日を、親から子へ伝えたい思いを本に込めて贈る、新たな習慣を提案したのだ。
 すでにわが国に「本の日」は存在する。4月23日の「サン・ジョルディの日」にバラと本を贈るというもので、日本書店商業組合連合会と日本・カタルーニャ友好親善協会などが、1986年に「サン・ジョルディの日」を定めた。サン・ジョルディの日は、スペイン・カタルーニャ地方における、キリスト教の聖人・聖ゲオルギオス(サン・ジョルディ)の聖名祝日(ゲオルギオスの日)。4月23日に行われる。この日は「本の日」とも呼ばれ、カタルーニャでは親しい人に本を贈る記念日とされ、今ではこの習慣は世界中にも広まっている。ただし、日本ではバレンタインデーなどと違ってほとんど浸透せず、知的な要素の強いものは、なかなか世の中に受け入れられないことを端的に示している。
 さて、本を贈ろうという「親子の日」は米国人写真家、ブルース・オズボーン氏の呼びかけで2003年にスタートした記念日。7月の第4日曜日を親と子の関係を見つめる日にしようと提唱され、こちらは国の後押しもあって徐々に広まりつつある。小欄は子供の頃、親から本を贈られた記憶はない。しかし、父親が出版社をやっていたこともあり、家中に本が転がっていた。そして本によって様々なことを学んだ。この経験から自分の子供には、あらゆる本を与え続けた。その甲斐あって今も本大好きな大人に成長している。
 私にも「人生を変えた一冊」が存在する。そんなインパクトのある本との出合い。どんどん幼児化が進み、幼稚さの増す日本人の知的劣化を防ぐためにも、読むことによって得られる知性、感性に磨きをかけてほしい。親から子へ本を贈るという習慣が広まることを願ってやまない。