コラム「水準器」


■08/15   「山の日」に祝日のあり方を考える

 わが国は世界に棺たる国民の祝日の多い国で、昨年から8月11日が「山の日」として、また1日休みが増えた。世界各国と日本の祝日数を比較してみると、世界の祝日数ランキングで最も多いのは年間18日のコロンビアとインドで、レバノン、韓国、タイがランクイン。そして日本の16日は全世界では6位となり、チリ、アルゼンチン、フィンランドと同数という結果になっている。休暇数が少ないといわれる日本だが、祝日の日数に限って言えば、かなり上の方にランクインしている。とくに先進国と呼ばれる国の中では最も多いのだから脅く。戦後、日本が奇跡的な経済復興をとげたのは働き過ぎ〈働かせ過ぎ〉だとアメリカが非難。もっと休めと言われたのが、祝日が増えた第1の要因となったという。そのお陰というべきか、今や世界6位の祝日大国となってしまったのだ。
 1948年(昭和23年)に作られた国民の祝日に関する法律によって、「元日」「成人の日」「春分の日」「天皇誕生日」「憲法記念日」「こどもの日」「秋分の日」「文化の日」「勤労感謝の日」の9日の祝日が生まれた。ここで6、7、8月の夏の3カ月間に祝日がなかったことがわかる。しかし、子供にとっては夏休み中だったので、夏に祝日がないことに何の疑問も感じなかった。一番嬉しかったのは4月末から5月にかけての3つの祝日で、子供心にも天皇陛下に深く感謝したものである。そして、この時期を ゴールデンウィークと呼ぶようになった。1951年(昭和26年)、現在のゴールデンウィークにあたる期間に上映された映画が、正月やお盆興行よりヒットしたのを期に、和製英語のゴールデンウィークが誕生した。ただし現在もNHKだけは、この言葉を映画産業のPRになると、頑なに使っていないという。
「山の日」制定に戻る。祝日の日の乱発は、政府による国民の人気取りの道具に使われているような気がする。休みが増えて困るのは、会社や商店の経営者、都心にある飲食業くらいりもので、圧倒的に数の多い被雇用者は喜ぶだろうと、政府も山積する難問は措いて、やりやすく支持率アップにつながるものは素早く決定する。
 今。祝日は国民にとって重要な記念日としての祝日ではなく、単に休日を増やすという目的のために乱発され、あるいは日付が変更されるなどして、本来の祝日の意味が混乱し、失われつつある。地元選出の代議士が必要性のない新幹線の駅を作るのにも似て、意味不明の祝日を作って対応するようなことはやめて、祝日は本来の目的通り、国民がその日の意味を考え、こぞって祝えるようなものに戻してもらいたい。「海の日」があるのに、「山の日」がないのはけしからんといった決め方で、祝日の粗製乱造は戒めたいものだ。